「この前の…ナシにしてもいいよ」

それは、カレンと僕が恋人になったことを言っているんだとわかった。

「嫌だ」

「言うと思った」

交わす言葉はいつもの調子なのに、カレンはもうすぐ死んでしまうかもしれない。
そんな現実、僕は認めたくなかった。

 真っ白な病室は、カレンの命を吸い取ってしまうようで。
僕はその日から、カレンのために何が出来るだろうと考えるようになった。