僕の身体に触れているカレンの心臓の音が、とくんとくんと規則正しい音を奏でている。
カレンは生きている。
こうして、ここで。

僕はそれがたまらなく嬉しくて、ぎゅっとカレンを抱きしめた。

「いたいよ」

「ごめん」

「あったかい」

カレンが腕の中で笑った。
カレンの頬に触れると、暖かい。

「僕はカレンが好きだよ。ずっと、一緒に生きて欲しい」

「プロポーズみたい」

頬を染めながらカレンが微笑む。
僕は頷くと、ゆっくりとカレンの唇に自分のそれを重ねた。
柔らかなカレンの唇の感触に、僕の胸がどきんと高鳴る。
それは、紛れもなくこれからの始まりを告げる音。

「私もね、ケンとずっと生きていきたい。しわくちゃのおばあちゃんになるまで、ずっと」

カレンの静かな言葉に、そうなったらいいと思う。

「さぁ、行こうか」

二人手を繋いで歩いていく。

 神様なんていない、と君は言うけれど。
僕はきっといると思う。


「来年は、一緒にイルミネーションを見に行こう」

他愛もない約束を交わして。
僕と君の鼓動は重なる。

体温すら交じり合って、溶けてしまえば。
きっと、きっと。