なんとなくそれぞれ自己紹介を終えたりして、合コンみたいな流れになって。
僕はぼんやりと一歩引いて見ているだけだったけど、セリちゃんはよく話しかけてくれた。

「好きなように呼んでいいよ」

「じゃあ、ケンくん」

ニコニコと笑う彼女は、正直に言って可愛い。
カレンのことを好きじゃなかったら、好きになっていてもおかしくない。

「ケンくんはテツと同じ学校なんだよね?よく話に出てるから知ってるんだよー」

「セリちゃん、テツと仲いいの?」

なんとなく会話を続けながら、僕は尋ねた。
セリちゃんは頷きながら、テツの方を見つめた。

「幼馴染ってやつ?もー、腐れ縁なの。あ、テツが言ってたけどさ、ケンくんにも幼馴染で仲いいコいるんでしょ?いいなぁ、テツとそのコ交換しない?」

「カレンのこと?今、カレン入院してるよ…」

「え、えー?テツそんなこと言ってなかったのに。具合大丈夫なの?」

セリちゃんは、本当に心配しているようだった。
優しい子なのかな、と思いつつ、僕は頷いた。

「最近会ってないけど…調子はよさそうだったよ」

「そっかー。元気になったら会いたいなぁ」

冬を越せないかもしれない、ということは伏せた。
この場をしらけさせる必要もないと思ったし、第一テツにだって言っていないことだ。
今日会ったばかりのセリちゃんに言うのも、何かおかしい気がした。

 「ケンー、セリと何話してるんだよー」

「テツには関係ないでしょー?」

「セリお前…」

テツとセリちゃんの会話を横で聞きつつ苦笑いを浮かべた。
ここ最近はずっと気を張っていたから、こんな風に誰かと遊びに来る余裕がなかったのは事実だ。
カレンは、今頃あの寂しい病室で一人なのだろうか―…。
急に思い出されたカレンの存在に、僕は小さく頭を振った。

 今更、どんな顔をして会いに行けばいいんだろう。
あの時、やっぱりカレンの手を離すべきじゃなかったのかもしれない。
そんなことをぐるぐると考えていると、セリちゃんに顔を覗き込まれた。

「どうしたの?」

「なんでもないよ」

笑顔を顔に張り付かせて答えると、セリちゃんもにっこりと笑う。