無理めな相談、引き受けます。


いつものように、学校が終わると亮太の家へ向かっていた。

一緒に帰ることはあまりない。
早く帰りたがる亮太と違って、私は授業内容を先生に質問したりするからだ。

だから、私の方が亮太より先に家に着いてしまうことも、まずない。


「おじゃましまーす。」

そう言って亮太の家のドアを開けた。
留守のときと寝るとき以外は、ドアに鍵を掛ける習慣がない家庭なのだ。


「あらー、あっちゃん。久しぶり。」

出てきたのが亮太のお母さんで、驚いた。

亮太のお母さんはパートに出ていて、いつも帰りはもっと遅いはずだ。
ちなみにお父さんはもっと遅いため、亮太は小さい頃から鍵っ子だ。


「お久しぶりです。すいません、亮太と約束してて‥‥‥」

いくら小さい頃からお世話になっているとはいえ、勝手に入ってしまったことに恥ずかしさを感じた。

「いいよいいよ。入って待ってて。あの子、まだ帰ってないから。」


え?
亮太がまだ帰ってない?

友達と遊んでるのかな‥‥‥。


「じゃあ、部屋で待たせてもらっていいですか?」
「いいよー、よかったらお菓子も持ってって。」

おばさんが手渡してくれたお菓子を持って、亮太の部屋へと向かった。

とりあえず数学の宿題のプリントをすることにしたが、何だか落ち着かない。

亮太、どうしたんだろう‥‥‥。


この時の私はまだ、悪い予感が当たっていたことに気づいていなかった。