「あつきは、好きな人いないの?」
お昼休みに、一緒にご飯を食べていた由莉にそう言われた。
「ん?何で?」
「だってあつき可愛いのに彼氏つくんないし。だから、本命がいるのかなーって。」
可愛いって‥‥。
由莉の方がよっぽど可愛いのに。
同じクラスの由莉は、明るくて笑顔がとっても可愛い、私の友達だ。
本人は気にしている少し幼い顔立ちが、多くの女子達から可愛がられる要因である。
由莉と仲良くなれたことで、私の学校生活は何倍にも楽しくなった。
「単に相手がいないだけだよ。」
私が軽く受け流すと、由莉は顔を近づけて小さな声で言った。
「そんなこと言って、岡田くんから告白されてたくせに☆」
「どっ‥‥‥」
どうしてそれを!
誰にも言ってないのに!
「ちょっと風の噂でね。なるほど、ホントだったか。」
近づけていた顔を離して、嬉しそうに由莉が言った。
‥‥あれ?
今の軽くハッタリだった?
ああ‥‥正直に反応してしまった私の馬鹿‥‥‥。
「でももったいないなぁ。岡田くんって、結構いい人っぽくない?」
「じゃあ、もし由莉が告白されたら、付き合う?」
「うん。」
予想外だったのとあまりにも即答だったのとで、次の言葉に困ってしまう。
「だってあたし、今好きな人いないしね!」
‥‥そういうものなのかな?
ずっと亮太のことが好きだったから、そういう気持ちは分からないな。
「んで、あつきは好きな人いるの?白河くん辺り?」
亮太の名前が出て胸の奥が少し熱くなるが、顔には出さない。
これも、だいぶ慣れたやり取りだ。
「いないよ。亮太は友達だしね。」
「そっかぁ。じゃあ、お互い頑張ろうね!」
私と由莉は笑い合った。
亮太への気持ちは、誰にも話したことがない。
普通は女友達に相談とかするだろうけど、私は怖くてできない。
噂になったり、誰かに嫌われたり、亮太との距離が離れてしまったりすることが。
亮太のことを好きなくせに、今の関係を壊したくなくて、なんの行動にも出ない自分を、本当にズルいと思う。
その上、亮太の恋愛相談にまで乗っているなんて、どれだけ亮太の気持ちを踏みにじっていることか‥‥‥。
‥‥‥何だか最近、ネガティブな考えばかりしてしまうな。
こんなときは、何かよくないことが起こりそうで嫌だな。
