その日の帰宅後も、いつも通り亮太の家で話し合いをする。
「なぁ、やっぱまだ告白はマズいんかなあ?」
テーブルに顎を乗せて、脱力している亮太が私に聞いてくる。
お昼休みに何とか亮太を殴りたい衝動を抑えたというのに、まだ言うか‥‥‥。
「告白が成功する確証でもあるの?」
私は落ち着いた声で聞き返した。
‥‥つもりだったが、声に少し怒気を含んでいた、かもしれない。
「確証はない、っつーか、確実に振られるだろな‥‥」
え、分かってるの?
じゃあ何でそんな血迷ったこと‥‥‥。
「でもさ、告白されたら、向こうも少しは俺のこと、そういう対象で見てくれんじゃないかな、って思って!」
身を乗り出して、自身満々に亮太は言った。
恋をすると、何でも前向きに考えすぎちゃうことってあるよね。
うん、分かる分かる。
分かるから、もうちょっと優しい表情しようね、私の顔。
「あつき、何でずっと下向いてんの?」
それは、あなたを睨み殺さないためですよ。
「いや、考えてたの。」
私は亮太に笑顔を向けた。
「亮太、ちょっと想像してみてね。」
「うん。」
「毎朝挨拶してくれる、花屋のおばちゃん、いるじゃん?」
一番近所のお花屋さんの店長は、誰にでも明るく挨拶をする、とても優しいおばちゃんだ。
「そのおばちゃんが、亮太のこと、旦那さんよりも好きだったらどうする?」
「は⁈」
「毎朝、亮太に挨拶をすることが、この上ない幸せだとしたら、どうする?」
色々と考えを張り巡らせたのだろう。
亮太は少しの間固まって、
「いや、どーもしねーよ‼」
と、我に返ったように言った。
「つーか、通学路変えるわ‼」
「ほら、それだよ!」
私はすかさず指摘をした。
「佐藤くんだって、亮太のこと避ける可能性だってあるんだよ?」
亮太は、ハッとしたような顔をした。
そして、また少しの間固まって、
「俺は花屋のおばちゃんと一緒かよ‼」
と、すごい勢いで言った。
いや、そこじゃなくて‥‥‥。
「つーか!もう花屋のおばちゃんにどう顔合わせたらいいのか分かんねーよ‼」
‥‥もう、私が悪かったよ。
