時間が経つにつれて亮太の気分も落ち着いてきたようだ。
少しずつ、今日あったことを話してくれた。
亮太の帰りが遅かった理由は、佐藤くんと話をしていたからだった。
佐藤くんに、話がしたいと言われて亮太はとても嬉しくなり、2人で地下へ続く階段の踊り場へ行ったそうだ。
そこで聞いた話が、佐藤くんに彼女ができた、というものだった。
相手は佐藤くんが所属しているテニス部のマネージャーで、一年生だそうだ。
佐藤くんは彼女のことを特に意識したことはなかったが、必死な様子で告白をしてきた彼女をとても可愛く感じて、付き合うことになったらしい。
「佐藤、すげー…嬉しそうだった…」
亮太はテーブルの一点を見つめながら、ぽつり、ぽつり、と話してくれた。
「……俺に、1番に、報告したかったんだって…」
こう言った亮太の顔を、私は見ることができなかった。
心臓がズキズキと痛い
何だか足も痛い
…ああ、無意識に太ももに爪立ててた。
「…ごめん、亮太…」
亮太が顔を上げた気配がした。
「…亮太は…告白、したいって…言ってたのに…私、が…」
ギュっと目を閉じて、もう一度謝ろうとしたら
「な、何謝ってんの⁈」
亮太は慌てたように言った。
パッと顔を上げて亮太を見ると、明らかにオロオロしていて、両手をテーブルについて身を乗り出している。
私がキョトンとしていると、
「な、泣いてるかと思った…」
と、安心したように亮太は腰を下ろした。
「…亮太は泣いてないのに、私が泣くわけないじゃん。」
少し拗ねたように言うと、
亮太は手のひらを頬に当てて、
「あつき、彼氏みたい…」
と、ほれぼれしたように言った。
「あのねぇ、私は本気で反省してるのにー!」
「あははっごめんごめん!」
私達の間に、一気に安心した雰囲気が通り抜けた。
よかった。
亮太、少しでも元気出たかな。
