「え・・・いいえ!」 よく来てくれてはいるけれど、 こんな風に話すのは初めて。 私は緊張で強ばる顔を必死で和らげ、 接客用の微笑みを浮かべた。 「今、開けるところだったんです」 慌てて、営業中の印である赤いのれんを かけようと、つま先立ちになった 私の視界がふっと日陰になり、 長い男の人の腕が横から伸ばされた。