中華屋のスター ~中華飯店 菜華 古川裕美子(39)の片恋~ 


洋子さんに促されて、口にいれた卵は、
あったかくて、美味しかった。

じわ、と潤んだ私の目を見て、店長さんは
少しびっくりしたように眉を上げた。

「裕美ちゃん?どうかした?」
「・・・いえ・・・」

ちらりと上げた目が合うと、店長さんは
私の気持ちがわかったように、少しだけ
口元を上げて、鍋に目を戻した。

「いいえ、なんでも」

私はなんだか心があたたかくなり、
ゆるむ目元が見えないように下を向いた。

「美味しい、です。本当に・・・」