洋子さんは小さな手が差し伸べ、 重い土嚢のような私の体を助け起こした。 「さ、立って」 どこへ?と問おうとして、私は気づいた。 考えてみれば、私の移動範囲なんて、 普段から、そう広くはない。 知らぬ間に、いつもの方向を選んでいた んだろう。 私が座り込んでいたのは、 通いなれた道の端。 洋子さん達夫婦が営むパート先『菜華』 から、2つ目の交差点の近くだった。