1ヶ月に1回はここに来ているというのにパティシエの姿を見るのは初めての事だった。


実のところ厨房はここから死角の場所にあるため、パティシエがいるかすら疑問に思うところだった。


「ねぇねぇ、あのパティシエさんイケメンじゃない?」


ゆきがそう言った時、ちょうどパティシエがこちらを振り向いた。




―――ドクン―――




「あー、やっぱりイケメンだねー!」


面食いのゆきが隣でなにやら言っているが、私の耳には入ってこない。