――ドキっ――



嘘だと分かっていても、匠さんが嫉妬したと思うと胸が高鳴る。


「あー、はいはい。」


仕方がないといったように私を抱き締めていた手を離す華恵さん。


ふと、他のお客さんはいいのかと思い見回すと私達以外の客は居なくなっていた。


「相模さんと、女将さんは仲がよろしいんですね。」


ただの客とその店の女将というにはあまりにも親しげだったために思ったまま口にする。


「匠が幼稚園の頃から知ってるからね〜。」


華恵さんの話しを聞くと、今は華恵さんが切り盛りしているこの店も昔は華恵さんの父親の店だったらしく、華恵さんの父親と匠さんの父親の仲が良かったため匠さんは幼い頃からこの店に来て、華恵さんに遊びの相手をしてもらっていたそうだ。


「それでね、出会いっていうのが飲み屋で、お酒好きの2人が意気投合したんですって。」


華恵さんは、2人の父親の出会い話しを事細かに話していく。