「いただきます。」
2人で食事の挨拶をしてからお酒を口につける。
「あ…美味しい…。」
もともと日本酒はあまり好んで飲まないが、この店のお酒はいつも飲むコンビニで売っているような安いお酒と違い美味しいと思った。
「お口に合ったようで、なによりです。」
そう言って微笑む匠さんにお酒が入ったためか頬が赤らむ。
程よく酔いが回ったところで料理が運ばれてきた。
「失礼します。」
料理の良い匂いに食欲がそそる。
魚、味噌汁、漬物、ご飯という定番メニューだ。
一口秋刀魚を口にいれると焼き加減だろうか、自分が作った時の物と同じ食材だと思えないほどに美味しかった。
「なんですか、このお店!?めちゃくちゃ美味しいんですけどっ!!」
思わず友達に言うように言葉を出した私に匠さんが肩を揺らす。
「気に入ってもらって嬉しいわ~。」
声が聞こえてきた方向へ顔を向けると、最初に出迎えてくれた女の人が立っていた。

