座敷に通された私達は向かい合うように座る。


お品書きと書かれた品の良い和紙を使ったメニューを見ると、どれも美味しそうで迷ってしまう。


「決まりましたか?」


匠さんが私にそう問い掛けてくる。


「いえ、まだ…。どれも美味しそうで……。」


待たせてしまっていることを申し訳ないと思いつつ、正直に応えた。


「では、僕のお勧めの物でよろしいですか?」


なかなか選ぶことの出来ない私は匠さんのその言葉に頷く。


「はい。お願いします。」


先程の女の人を呼び、匠さんは慣れたように注文をした。


「相模さん、コンクールはいつ行われるんですか?」


食事が運ばれてくるまで黙ったままなのは気が引けたので当たり障りのない質問をしてみた。