気付くと俺は華の働く店の前に立っていた


結婚してからは1度も来ていなかったせいか少し懐かしく感じる



エントランスの扉を開くと顔見知りの黒服が擦り寄ってきた



「五十嵐様、お待ちしておりました」


店内を見渡すといつも以上に賑わっており華へ送られた沢山の花がエントランスに飾られていた


「今日、奥の席空いてる?」


奥のVIP席は広い個室になっており他のキャストや客から見える事はない


今まで普通の席で働く華を見てきていた俺がVIPに入るのは初めてだった


「すぐ準備させて頂きます」


黒服は少し驚きインカムで従業員に指示を出している



広いフロアーを見渡すが人の多さで華の姿は確認出来ない


「今日、華着けて」


この2年間、指名もしたことがない俺…


華はどんな顔で俺の席に着くのだろう…




そんな事を考えると珍しく緊張した