結局その日、華は帰って来なかった


気が付けば外は明るくなり、また今日が始まろうとしている



いつもの朝


いつものように支度をし


いつものように、いつもの時間にいつもの迎えの車がくる


いつものように家を出ようと玄関の扉を開け、ふと振り返った



いつもと違うのは見送る華が居ないということだけ


そんな小さな事に違和感を覚える



朝の定例ミーティングを終わらせ社長室に戻るとプライベート用の携帯にメールが入っていた



『昨日はごめんなさい。

今日は夜の仕事が最終日なので実家に帰ります。

落ち着いたらまたメールします。』



無機質な携帯の文字は距離を感じた



ごめんなさいって…

落ち着いたらってなんだよ…



大きくため息をし深く椅子に座った