「ああ」


カバンに手を入れると商談用にまとめた資料が入ったタブレットがない



「あっ…」


昨日の夜、書斎で最後の確認をしていた事を思い出す



「社長どうかされましたか?」


沙耶が心配そうに尋ねる



「悪い、家に忘れ物したから先に店行ってもらえないか

後で追いかける」



「えっ、社長…」



俺はスーツのジャケットを羽織り地下の駐車場に降りた



タクシーよりも自分で運転する方が早い



車のエンジンをかけマンションまでは15分



玄関を開け書斎に入ると机の上に置きっ放しのタブレットがあった


よかった…


資料を確認しながら家を出ようとすると玄関の扉が開いた


ふと顔を上げ目をやるとそこには華が立っていた



と同時に華は俺の視界から消えそのままその場にスローモーションに倒れていく



「華!!」