引退してから父は以前より丸くなった



いつまでも結婚しない息子に痺れを切らしたのか華の家の状況を知っているはずなのに意外にも父は今回の見合いに口を挟まなかった



ホテルのラウンジに着くとコーヒーを飲みながら笑顔で父親と話す華がいた




クラブや会社で見る華とは違って見えた


自分を作る事も無く自然体の華がそこに居た



父は華の父親を見つけるなり駆け寄った



興味なさそうに父の後ろを歩きながらも華に近付くにつれ俺の鼓動は早くなっていく