支度を終える頃、家のチャイムが鳴った


モニターには父の運転手が立っていた



「賢治様、お迎えにあがりました」


「ああ…」


下に降りると父の車が道を占領するように止まっていた




「おはようございます」



後部座席で新聞を読む父の隣に座る



「おはよ」


俺に気付いた父は読んでいた新聞を畳みながらスーツの内ポケットから出した煙草に火を付ける



「楽しみだな…

お前が選んだ女性に会えるとは」




「…僕もですよ」