「あっ、そうだ」


沙耶はバスローブを羽織りカバンから書類を取り出した


最近、華の店に行った日はこうやって沙耶を赤坂のホテルに呼び出す機会が増えた気がする


「はい、これ」



タバコを加え沙耶が差し出した書類を開いた




「…コレ」



「山口華の父親の会社かなりヤバイらしいですよ

昼とホステスの収入だけじゃ無理じゃないかしら」



沙耶の言う通り華の父親が経営している会社は多額の負債を抱えていた


資料を見る限りあと一年もすれば確実に倒産だ



「ホステスなんて辞めて、さっさと成瀬先輩と結婚しちゃえばいいのに」



沙耶の何気ない一言が俺の中の何かを刺激した




「結婚かぁ…」