彼の優しさが滲み出ている文面に私はホロリと涙が頬をつたって流れた。


 便箋に涙が落ちボールペンのインクが涙で滲む…。


 「私も…会いたいよ… 。
 電話もかけたいし…メールも送信したいけど…もうできない…。

 ごめん…。
 さようなら…。」

誰にも伝える事の出来ない言葉を呟きながら…わあっーと声をあげ子供みたいに泣いた。



 しばらくして私はまた泣きはらした目をこすり…化粧を落として再び厚く塗り直しマンションを後にした。


 エレベーターを降り管理人室の扉を叩くと管理人さんがでてきてくれた。


 「彼…。とても心配そうだったよ。」


 管理人さんは…気遣いながら扉をあけて私の顔を覗きこんだ…。


 「すみません…。
 ご迷惑おかけして…。
 もし、また彼がきたらこれ…渡してもらえますか?」


 私は…白い封筒を差し出す。


 管理人さんは…わかったといって受け取り元気だしてね!と声をかけてくれた。
 私は…管理人さんに一例してとりあえず…千夏にいわれた通り易者のおじさんを探すため駅に向かった。


 もう…宗大の事は忘れよう…。
 いずれその内記憶もなくなるだろう…。

 でもせめて…千夏達の記憶だけは…と思うとじっとしてるわけにはいかなくて…足早になる。