易者のおじさんはにこやかな顔でそうそう…と呟き頷いた。
「学生さんには…特別に無料券を配布しておるんじゃ…!
今日から使えるから良かったら彼氏と一緒にいらっしゃい!」
「えっ…!」
彼氏…?
突拍子もない事を言われて私は…思わず言葉を詰まらせた時…。
「橿原さん…!」
背後から呼び止められた声に私は気がついて振り向いた。
「高森くん…。」
振り返った先には…診察室から出てきた高森くんの姿があった…。
「待たせちゃってゴメンネ…。
今から母の病室に行くけど…。」
高森くんは頬を赤く染めて四角いメガネを軽く指の甲で押し上げながら恥ずかしそうに俯き言葉を詰まらせた。
「そっかあ…!
じゃあ…私も一緒に行…」
“…く!”と言ってバックを取ろうと身を反転させた時…先程座っていた易者のオジサンは物の見事に消えていた。
「えっ!?
えっ!?
えっーーーー!!」
私は何度も振り返ったり…腰掛けていた椅子の下を探したりあらゆる手を尽くしてみたけれど…オジサンの姿は見当たらない…!!

