こんな事態だというのに…私の鼓動音も彼の鼓動に合わせて脈うち胸を詰まらせた。



 …宗大…。


 なんだかその心地よさに私は懐かしくて彼の胸にしがみつく。



 「…橿原さん?」



 私の手が高森君の服を握りしめる感触に気づき少し顔をあげて声をあげた。


 「…ごめんね…。
 なんだかさっきからごめん…。」


 泣くつもりなんかサラサラないけど涙が溢れて高森君の服を濡らした。


 「………。」


 静まり返った部屋に私のすすり泣きと時を告げる音が鳴り響く。


 トントン…。


 高森君は…そんな私を気遣い背中を優しく叩く。


 私はその心地よさに抱かれて再び…キュッと布地を掴んだ。


 優しいんだな…。
 高森君って…。



 なんだかいろいろあった1日だけにこんなにまったりする事なんてなかったせいなのか…それともただのホームシックなのかわからないけど今だけは居場所を見つけた気がして…彼の背中に腕を回して思いっきり抱きしめその伝わる温もりと心地よさに抱かれ目をとじた…。


2人そのままの体勢で…覚める事のない夢心地に誘われ過ぎゆく時をやり過ごした。