沈黙を破り淋しそうに呟いた彼の唇が私の唇に触れた。
このまま時間が止まってしまえばいいなんて思った目前を…横切る人に私は目を見張った。
横断歩道を渡る人物は…あの例のおじさんがこちらを見ながら微笑を浮かべて歩む姿が目に飛び込んできた。
「ちょっ…」
突然の易者のおじさんの出現に私は…目の前の宗大からのキスを途中で中断すると…次は彼の身体を引き離して…使い捨てのカメラだけ手に持ち車を降りた。
「易者のおじさん!」
私は易者のおじさんを呼び止めた。
おじさんは私に気づき…「おっー」と声をあげた。
私はおじさんに近づきカメラをみせた。
「このカメラ!
写真現像したら…!」
使い捨てカメラの中身の事を聞きたいのに…上手く説明できずに声をあげた私の言葉を遮り…おじさんは何かを思いだしたように続けた。
「そうそう…肝心の事を…言い忘れていたよ…。
過去の自分には…気をつけるんだよ!」
意味深な言葉に…私は硬直して佇む。
「まあ…また困ったらあの駅の近くを訪ねなさい…。」
おじさんは…そんな私にお構いなしに言葉を伝えた後…木枯らしが私とおじさんの間に木の葉を巻き上げて吹き抜けた。

