その後は…社報でお見かけするくらいのまさに雲の上の存在で…面識があった訳でもない。
例え私が働いている事を社長が知っていたとしても私が社長に自分の事を知ってもらうとなるとかなりのビジネスチャンスが連続で訪れてくれない限り遠い話に近い。
そんな人から「初めましてか…」と意味深な事を言われて戸惑いつつ苦笑いを浮かべた。
私のその様子を隣で見ていた宗大は気まずい空気を断ち切った。
「お父様に…報告とお願いがあってきました。」
「なるほど…。
では…報告から聞こう。」
宗大のお父様は…さすがに肝が据わっているのか余裕の発言で急かした。
「…子供ができました。」
予告もなくよく言ったな~と思いつつお父様の反応をみる。
「そうか…。
それは…おめでたい報告だな…。
じゃあ…お願いは?」
貫禄の表情は揺るがないままだったが…口角をあげてほころばせて次なるお願いをまたも急かした。
「今夜…ここに成美を匿って頂きたいのです…。
特に…お母様から…。
無粋なお願いだとは…百も承知ですが是非ともお聞き届け願いたいと思っています。」
宗大の言葉に…私は驚き頭を下げて懇願する彼を隣で見つめた。

