「―――宗大か?」
カーテン越しに聞こえてきた低い声に彼も答えた。
「はい…。
夜分、遅くすみません…。」
「こちらに…。」
風格を思わせるその低い声はカーテンを揺らして合図をしたのを確認した彼は…無言で私を見つめ頷き手を引き…カーテン沿いに進みやがて…彼のお父様が寝ているベッドに辿り着いた。
「…お休み中のところすみません…。」
彼の言葉に…厳しい表情で彼をみた後…私を見つめた。
「あ…。
はじめまして…。
橿原 成美といいます。」
緊張しすぎてガチガチになりながら…ぎこちないお辞儀をした。
「初めまして…かな?
まあ…いい?
君がうちの会社で働いたのはよく知っているよ。
実に…面白い経歴みたいだな。」
「はあ…。」
彼のお父様にあった事なんてないけど…と今までの記憶を辿ってみる。
社長 本藏 直孝
〈モトクラナオタカ〉
現在 64歳
確かに会社の入社試験とかで社長の顔と名前を暗記して…入社式では…遠目に祝辞を頂いて…受付嬢時代には…写真越しに仕事を見られていたくらいのことはあった…。

