「うん…。」
「あの時…気づいたんだ。
なんか…情けなくなってきたよ…。
君から守られてる自分にウンザリした。
一体…君のこといつになったら守らせてくれるんだろうって思うしもっと…頼ってほしいよ。」
彼は…私の手から掴んでいた手をほどき…今度は私の肩に手を回し自分の方に引き寄せた。
「このままどうする?」
彼に聞かれて私は答えた。
「あなたの好きにしていい。」
彼は…その返答を聞くと私を抱き寄せたまま車を走らせた。
やがて…しばらく車を走らせ総合病院の駐車場に停車した後…彼に連れられ病院の中に入った。
真夜中で時折…行き交う看護士さん達にお辞儀をして…彼は…ある病室の前で立ち止まった。
『本藏 直孝』
部屋の前に飾られていた名前のプレートを見つけ私の緊張は一気に高まった。
“社長だ…。”
心拍数が尋常じゃない程異常に打ち鳴らした。
やがて彼は静かに病室の扉をノックして私の手を握り中に入った。

