紘永 ーひろとー


私の心を乱す人。
そして、かつて愛し合った人。

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「――んっ」

あなたは私に
ハジメテを教えてくれた人。
お互いハジメテだった。


あなたは優しく愛してくれる―。


毎日が怖いくらいに幸せだった。

「深羽―…愛してる―」


この言葉は本物だった。

私はまだ偽物を知らなかった。


それは、あなたを本物だと信じてた。
いや…信じてる。
今も、今でも。


私たちは体を重ねることは
少なかった。

別に理由はない。

お互い身体目当てではない。

同じ空間に一緒にいるだけで
それだけで十分。

少なくともそう私は思ってたよ。