「返事、聞かないの?」

「わかってるから、聞かない。」

「..自意識過剰。」

玉木には聞こえないようにそう呟いた。

私の気持ちはお見通しってこと?

そんな顔に出てたかな。

「好きな人、いる?」

唐突にそう聞く玉木。

「うん。いるみたい。」

「ふーん..どんなやつ?」

好きな人がいると知った途端、不機嫌になる玉木。

いや、私の気持ち知ってるのに何で?

もしかして..私の気持ちに気づいてないのかな?

「馬鹿、かな。」

「ぇ、馬鹿がタイプなの?山本さん。」

あなたのことですよ。

「なんか、毎日放課後ここに来るよ。犬みたいに。」

玉木の目が見開かれたのなんて、知らない。