「うっさい。」

拗ねたように顔をそむける玉木。

ほんと、彼はどうしてこうも可愛いのだろう。

「さっきまでの余裕顔はどこに行ったの。」

「知らない。」

「元からなかったりして?」

「っ..山本さん、たまにSになるよね。」

「そうかな。」


「そうだよ。」

そこまで言って、玉木は急に真剣な表情を浮かべた。

「男は好きな子よりも余裕でいたいわけ。」

そんな彼を見て、"あぁ、やっぱり。"

そう思った。

私は、ここから見る景色が好きだった。

もちろん、今も好きだけれど。

でも今は、玉木が来るとわかっているからここにいる。

玉木がいない日の景色は、なんだか味気ない。