「そっか..」

違った。

悲しそうに、切なそうに彼はそう言った。

「玉、木..?」

「沙耶にとって、俺なんてそんなもんだよね。」

「違っ..」

しまった、と思ったときにはもう遅くて。

「俺帰るね..」

「玉木っ..」

「じゃあね、山本さん。」

「っ..」

"山本さん"

付き合うようになってから、ずっと"沙耶"って呼んでくれたのに。

距離が開いたような呼び方をされて、胸が苦しくなった。