いっこうに私の上からどく気配のない澪。
私が侮蔑の視線を送ってるのにも関わらず間抜けな質問をしてきた。
「……あんたさ、今俺のことで頭が一杯だろ??」
無理矢理キスされて泣いている私にそんなこと聞くなんて頭がおかしいとしか思えない。
「当たり前でしょ…
澪をどうやって殴るかずっと考えてるよっ」
憎々しげに言う私を見て、ニヤリと笑いながら澪は低い声を出した。
「…ふーん、最高だね」
その答に私は唖然として何も言えなかった。
澪がお母さんのことで傷ついてるはわかる。
可哀相だと思うし、私だって恨んでしまうかも。
……けどだからって人を傷つけていいわけじゃない。
「そういえばさ、男のふりしてうちの学校に来るってことは何かあんだろ……??
理由には興味ないけど、ばれたら困るってことだよな…」
「………ッ」
私の嫌がることが至極楽しいらしい澪が黙っててくれるわけがない。
確証を得た以上きっと明日にはバラされるだろう。
ファーストキスだけでなく夢まで澪に奪われるなんて不運にも程がある…

