そのまま澪の顔がどんどんと近づいてくる。 …―――キスされる。 そう思って顔を必死で背けた。 「……何すんだよっ。 やめてよ……やめろっ」 叫ぶ私を見ても表情一つ変えない澪にゾッとする。 初めてキスは好きな人に。小さなことだけどすごく大事なこと。 こんな奴に奪われるなんて絶対に嫌だ…… あと少しで唇に触れるというところで澪は止まった。 涙で瞳が潤みながらもホッとする。 「……バーカ」 澪は明らかに安堵した私を見て嘲るように言うと、そむけた顔を乱暴に自分にむけて無理矢理キスをした。