「お前の好きな母さんのせいで俺の母さんは死んだんだ…」
澪はひどく苦しそうに言った。
嘘だって思いたい、けど澪の声は悲痛さを感じさせるくらいつらそうだったから私は否定の言葉を口にすることができない。
「澪のお母さんと私の母さんにどんな関係があったの?」
母さんを信じたいけど怖い気持ちが膨らんでくる。
「俺の親父はお前の母親がずっと好きだったんだ。
結婚してからもそれは変わらなくて…
俺の母さんはずっと身代わりだった」
「……澪のお父さんと私の母さんに深い関係はないんでしょ?」
「確証はねーよ。
けどずっと手紙でやりとりしてた…
その手紙を読んだ母さんはある日手首を切って自殺したんだ」
「………ッ」
「お前にわかる?
バスタブで血まみれになって倒れてる母親を必死に助けようとした子供の気持ちがさ…」
「……そ…んな……」
声が震えてうまく喋れなくなってきて、指先までどんどんと冷たくなっていく……

