「……おい、何睨んでんだよ?」
「別に」
「……あんなクソみたいな女に似てるって言われていらついてんの?」
さも可笑しそうに笑う澪にもう我慢することができなかった。
「お前みたいな奴が母さんを悪く言うな!!」
声を荒げて言う私を見ても澪は平然としている。
「……やっとだな、やっと復讐できる」
そう呟くと私の横にドサッと音を立てて乱暴に座る。
そして私の体を自分に引き寄せ、力任せに抱きしめた。
訳もわからず、必死に抵抗する私の耳元で澪の低い声が纏わり付くように聞こえた。
「……あの女の娘を存分に苦しめられると思うと笑いがとまらねーよ」
「………ッ」
あの女の娘…確かにそう聞こえた。
私が母さんを馬鹿にするなと言ったから?
違う…
澪は聞いても驚いたりしてなかった。
ただ、知っていて確認をしたんだ。

