お姫様は王子様を演じてる




私の引いたカードには…



ピエロの絵が描いてあってジョーカーと言う文字が赤く印刷されていた。



おや?おやや?
私は左を引きましたよね?右じゃなかったですよね?


―――なのに何でババ?



「……だから右を引けと言ったのに」



チッと舌打ちをした後、兵藤は私からひょいっとダイヤのエースを引いていった。



「…やはり、勝ってしまったか」



そう言ってダイヤエースのカードを二枚ポイッと投げる兵藤。



「何で…?
何で左がババだったの?」


「いや、最初から左はババだぞ。
だから右を引けと言ったんだ!!
さすがに新しく入寮したばかりの上野に罰ゲームをさせるのは気が引けてな…だが負けてしまったものは仕方ない。
諦めてくれ…」



「そんな…」



兵藤は兵藤で私に情けをかけてくれていて、私は私で兵藤を負けさせないようにと思ってた。



全てを決めたのは澪のたった一言。



『……早く右を引けよ?』



あれは全部わかっていて、わざと私に左を引かせる為に言ったんだ。



何て…嫌な奴。