澪の一声で寮を出た私達。
4月に私が此処に来てから、四寮メンバー全員で外を歩くのは初めてだったりする。
でも――二度目は、ないほうがいい。
すれ違う人達……老若男女問わず、みんながチラチラと私達に視線をやる。
みんなは、そんな視線に慣れているからちっとも気にならない様子だが、私は気になって仕方ない。
ヨボヨボとしたおじいちゃんにまで、振り向かれるなんてびっくりだ。
しかもヒソヒソと聞こえてくる声がまたキツイ。
『芸能人じゃない?』
『モデルじゃないの?』
『みんな美形過ぎでしょ?あの黒髪の男の子まじタイプ!声かけてみる?』
『やめなよ!あの子達絶対アイドルだって!
相手にされないよ!』
いえ、一般人です。
よくみんなこんな好奇の視線の嵐の中を平然と歩いていられるなぁ。
きっとコイツら全員心臓に剛毛が生えてるに違いない。

