「な、殴るわけないじゃないですか」



「そう、ならいいの。
早く行くよ」



さっきまでの可愛さはどこへやら…



すっかりいつもの小悪魔に戻っていた。



コイツ…私より女優向きかもしれない。



無言で悠斗の背中を睨む私。



「何やってんの?
早くついて来なよ」



悠斗はハッと私を馬鹿にしたように鼻で笑うと、さっさと歩いて階段を下りて行く。



やっぱり、さっき一発殴っておけば良かった…



――後悔先に立たず。
まさに、今この言葉がしっくりくる。