後は、どうやって澪の視線を反らすか…窓に手をかけた時に引き戻されたら意味がない。
『が・ん・ば・れ』
兵藤の見当違いの口パクの言葉が浮かぶ。
「良かった、兵藤気づいてくれたんだ」
わざと、ホッとした顔をして閉まったままのドアを凝視しながら言った。
私から視線をそらし、後ろを振り向く澪。
……バーカ。
女優の卵をなめんなよ。
その隙に、窓へと走ると下を見ずに飛び降りた。
ドスンと鈍い音がして、着地に失敗したことがわかる。
「痛っ…」
お尻をさすりながら上を見上げると、窓から顔を出す澪が見えた。
さっき私をレイプしようとしたくせに、澪は何故か心配そうな表情をしているから意味がわからない。
アイツもあんな顔するんだな…
立ち上がると、大きな声を出して澪を呼んだ。
「澪、今度は窓閉めといたほうがいいですよ」
悔しそうな顔をするだろうと思ったのに…
澪は鼻で軽く笑うと、『ああ』と返した。

