次の日、出勤して早々に秀明……深草(ふかくさ)先生に呼ばれた。

用件は明日から産休の先生に代わってやってくる臨時教員の先生の面倒を見てやって欲しいとのこと。

そういえばそんな話になっていたと今更ながら思い出す。

教師として教壇に立つのは初めてだから、しっかり見てやってくれとわたしに申しつけて秀明は別の仕事へと戻っていった。

昨日の今日でテキパキと手際よく働ける彼は、公私をはっきり分けられるよくできた人間だ。

言い返せば薄情な男なのかもしれないが、そんな彼と顔色一つ変えずに会話をできるわたしも同じようなものなのだろう。

いや、昔はしっかりわたしを大切にして浮気の一つもしなかった彼の方が誠実であったのかもしれない。

一度として心を開くことのなかったわたしよりもずっと。

あの人を失ってからというもの、わたしの心は固く閉ざされたまま――。