ホテルを出たあたしは、
学校に行く気分にもなれず、知らない街をうろうろ歩き回っていた。
「君、かわいいね?こんな時間にどうしたの?」
「……離してください。」
「え?何聞こえなーい」
チャラチャラしたやつがニヤニヤしながらガムを噛む。
クッチャクッチャ、うるさいな……
パン!
あたしは目の前のチャラ男をビンタする。
「……ってえ!お前、ちょっとかわいいからって調子のるなよな!」
殴られる…!
でも…もういいや。
ギュッと強く目を瞑る。
「お前こそ、何やってんの?」
知らない人の顔。
誰?
「か、カミヤ!」
ひぃ、と顔を引きつらせて笑って、逃げていくチャラ男。
「あの…ありがとうございました。」
「…あんた、名前は?」
「篠田です。」
あえて下の名前を言わない。
「下の名前は?」
「……麗美です。」
この人、あまり感情を顔に出さないのかな。
全く顔変わんない…。
あたしみたいに……
「俺は上谷冬李(かみやとうり)」
「あ、はい…」
何であたし達、自己紹介してるんだろう?
どうせ一回きりなんだし。また会うことなんて、相当ない。

