恋愛季節




『元くん!?今どこ!?』

「杏〜…?」

『どこっていってるの!!』


少しヒステリック気味に聞こえてくる声。


「……友達の家にいるよ。」

『本当に?』

「本当」

『……嘘だよね?だって私、聞いちゃったんだもん。昨日元くんと麗美ちゃんが密かに会話してるの!!』



…………!

急に上げられた自分の名前にびっくりする。


「篠田がどうしたんだよ?」

『隣にいるんでしょ!?麗美ちゃん!』


まるでもうすぐそこにいるかのような杏ちゃん。

あたしは怖くなって急いで着替える。


その頃には、元斗も電話が終わっていた。



「……元斗」

「ん?」

「もう、終わりにしよう?」

「……は?」


納得が行かない、怪訝そうな顔をする。


「ずっと思ってた。…こんなこと、よくないよ」

「麗美は、遊びだったの?」


……そんなわけない。

あたしのことを唯一好きにさせた、夢中にさせたのは元斗だけ。


でも………


「っ、そうだよ。遊びだったの!」


傷ついたように唇を噛む元斗。

やめて。そんな顔しないで。

好きなの。本当は、一緒にいたい。


「じゃあね。高橋……」


グイッと腕を引かれる。


強引だけど、今までで一番優しいキス…。

思わず出そうになる涙を堪えて、振り向かずに歩く。


バイバイ……