「温かいとこ」
ニヤリと口角を上げて一言。
「…あぁ。それか」
確か、あれは高3の秋……
―――……
――――……
お母さんの恋人がいることに初めて気づいて、あたしショックだったんだよね。
で、うろうろしてたらあの街にたどり着いて、人のいない所で座ってたら。
『篠田?』
『高橋…』
その頃は何も接点がなかったあたし達。
『どうしたの?』
『………』
あたしが黙っていたら、高橋は
『温かいとこ、連れてってあげようか?』
って言って、始まったあたし達の関係。
ちなみにアイツの言う温かいとこは、ホテルだ。
あたし達はそこで、1つになった。
何であんなことしたのか、自分でも分からない。
ただ、人は、温かいんだって思った。
隣に誰かいるだけで、
その時だけ、何もかも忘れられた。
―――……
――――………
「麗美?」
「……ん?」
その日以来、毎週水曜日は、こうやって会っている。
元斗が決めたルール。
・2人でいるときは、呼び捨て。
・学校ではバレないように。
・誰にも言わないこと。
まぁ、当たり前のルールが殆どだけど。
あたしは、もしもの場合のために、いつも帽子を被っている。

