「それって……」

「俺も好きだ。」

「……嘘だぁ」


健介は照れくさそうに頭を掻く。


「毎朝見かける、俺に飴玉くれる、笑いかけてくれる、優姫が好きだ。」

「………」

「優姫以外の誰も好きじゃない。お前だけだ。」



嬉しい。涙が止まらない。


「好きぃー……」


健介に抱きつく。


「俺も。大好きだ」


そっと回される腕。



「そこのお二人さん、ちょっとごめんなさいねぇ」


目の前にはおばあさん。

確かに道のど真ん中で抱き合ってたら通れないよね。

今思うと、恥ずかしい……


「す、すみません」

「若いっていいわねぇ〜。昔の人を思い出すわぁ」



……同じような台詞、聞いたことある。



「なぁ、あの人に前にもあんなこと言われたよな?」

去っていくおばあさんを見ながら健介が言う。


「うん。言われた」



私達は、笑い合って、お互いの額をコツンとくっつけた――――