恋愛季節




「え……」

「俺は田辺健介。双子なんだよ」


あ、双子だからそっくりなのか、なるほどー♪

って、


「嘘でしょ!?」

「本当だよ」


じゃあ私は、恭介君じゃなくて、目の前の人に恋してたの―――!?


「お前、名前なんだよ」

「…豊川優姫。」

「優姫ぃ?可愛らしい名前だこと」


………カチンッ


何コイツ。
田辺健介……健介でいいや!


「健介って、ありきたり〜」

「何〜?」



その言葉をきいて健介は立ち上がる。

初対面なのに、健介と言い合いをする。

なんか……楽しいし。


そこに、たくさんの人が乗ってくる。


「わ……」


背が小さいから、吊革に掴まれてないし、人に流されそう。


………え?


温もりに包まれた。

目の前には、健介の広い胸。
背中にがっちり腕が回されてる。



「……我慢しろ」

「うん。……ありがとう」


なにこれ。

ちょっと前まで恭介君でいっぱいだった心が、一瞬で健介に染まる。

胸の鼓動が聞こえてくる。


………なんか、落ち着くな。


「……ぃ、……おい、離れろ!!」