………まさか、山本君が私のこと好きだったなんて。
亜希になんて言えばいいの……?
複雑な思いを抱えて、眠りについた。
――月曜日。
太陽が眩しい秋晴れの日。
いつもより足取りが軽く、スキップしたい気分だ。
7時45分の電車を待つ。
は、話しかけていいんだよねっ!?
恭介君、おはよう
って。
何度も心の中で呟いて練習する。
“まもなく〜”
あ、アナウンスが流れた!……くる。
プシュー
開かれたドア。
中に入ると、近くの座席に本を読む恭介君。
ドキ ドキ
よし、い、行こう!
「き、き、恭介君っ、おはよう!」
声おっきくなっちゃった。
わーん。
恥ずかしい。
………あれ?
恭介君は返事をせず私を冷たい目で睨んだ。
「あ?俺は恭介じゃねえよ」
「え」
でも、顔も声も、そっくりだよ!?
「恭介は、俺の弟」
………ぅぇえええ!?
聞いてませんよ!?

