「あ…電車きた。」
2人で電車に乗り込む。
「こっち」
腕を掴まれて歩く。
……やめてよ。
好きな子がいるくせに。
これ以上ドキドキさせないでよ。
1つだけ空いてる席に座らせてくれる。
「ありがとう…」
「ん」
その後は、アドレスを教えてもらって、別れた。
「じゃあ」
「おぅ。またな」
私の方が先に降りるのがなんか新鮮。
歩きながらケータイのアドレス帳を開く。
“田辺 恭介
090####××××
kyo.0707.socc@****ne.jp”
……今日、メールしてみよう。
ちょっぴりさっきのことを忘れられて、私は笑みが溢れた。
「………?」
家に着いていつ送ろうか悩んでいると、山本君から電話がきた。
「はいもしもし」
『も、もしもしっ!?』
挙動不審だなあ。
「山本君?どうしたの?」
『………っ……あのさ』
「うん?」
『………っ……』
何度か唾を飲み込む音が聞こえてくる。
『……豊川が、好きだ』
え……
『ずっと前から好きだった。付き合って下さい』
「……ごめんなさい。」
返事をした後、すぐに電話は切れてしまった。

