いつも、私の一個前に降りていくあの人。
……また、明日。
そう心の中で思って、あの人を見送る。
豊川 優姫(とよかわゆき)、T高校に通う、高校二年生。
「おはようー」
「あ、亜希(あき)」
あの人と入れ違いで乗ってくる私の友達、進藤亜希。
「今日も話しかけられなかったの?」
「うん……」
亜希はいろいろアドバイスしてくれるんだけど、私はどうも話しかける勇気が出なくて……
「まぁ、明日頑張んなよ」
「うん!」
私は、いつだってあの人のことばかり考えてて、授業中に怒られたことだってある。
「豊川〜」
「ん?」
同じクラスの山本君が話しかけてきた。
「明日M高で試合あるから、来てくんね?」
「行くっっ!」
山本君、いいお誘いありがとう!!
「優姫あんたさー……」
亜希はあきれたようにため息をついた。
「ん?」

