朝、いつも通り朝食を食べて、歯を磨き、制服に着替えて髪を結わく。



「行ってきまーす」



そして、7時45分行きの電車に乗る。



……いた。


M高校の制服を着て、本を読む少年。


読書の秋。

食欲の秋。


私は、あなたに恋した秋。


出会いは、10月に入ってちょっとの日だった。


いつもより早く起きて、気が向いたからもう学校に行くことにした。



そして、あの人に会った――


光があたってキラキラ光る黒髪に、整った顔立ち。

1人で乗っているから、声は聞いたことないけど……


あの人から目が離せなかった。