放課後、いつもはすぐに帰るけど、わたしは窓際の席に座ってグラウンドを眺めていた。
明は部活でいないから、わたし1人。
先輩が、サッカー部に紛れてサッカーしてる。
クスッと笑ってしまうわたし。
「あ……」
わたしの視線に気づいたのか、先輩は手を振ってくれた。
小さく振り替えそうとすると、
「颯大、わたしに向かって手ふった〜」
一個下の階にいる先輩の声が聞こえる。
「絶対春子のこと好きだよ!」
「そうかなぁ?」
「だって今日もさー……」
聞きたくもない会話が耳に入ってくる。
慌てて窓を閉める。
“春子”
聞き覚えのある名前。
「……あっ!」
思い出した。
明が結構前に言っていた。2年の中で、一番かわいいっていう人。

